温故知新 2001.09.05

48.歯髄のない歯がなぜ痛むのか

 「歯髄を取って、被(かぶ)せたはずですが、歯髄のない歯がなぜ痛むのですか?」と質問されることがあります。
"歯が痛い"と言って来院した場合、歯科医は、まず患者の訴えを聞き、X線写真、電気歯髄診断機、冷熱反応などで痛む原因の歯と、その歯が有髄歯(歯髄がある歯)か、無髄歯(歯髄のない歯)かを調べます。
 有髄歯の場合は、出来るかぎり歯髄を残し、痛みを止めてから充填(じゅうてん)するか、被せるのが理想ですが、痛みが耐えられないほどの苦痛になっていて、歯髄を残すことは無理だと診断した場合に、歯科医は抜髄(歯髄を取り除く)処置をします。そして、空洞になった歯髄管に、根管充填し、細菌の繁殖する余地を残さないように心がけます。
 ところが、なんらかの原因、例えば歯髄管が曲がっていたり、狭窄(きょうさく)していて、完全密封が出来なかった場合、歯髄管は生き残った細菌の適当な繁殖場所となり、やがて細菌は歯根端から歯根膜、そして顎骨の中へと段階的に侵入します。この症状を"歯根膜炎"といい、"歯が浮いたような感じ"から咬(か)むと鈍痛を感ずるようになり、時には激痛となったり、発熱することもあります。



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