温故知新 2001.08.08

44.咬耗(こうもう)と摩耗

 齢≠令≠ニ簡単に書くようになりましたが、齢≠フ意味は歯によって年齢がキマル≠ニいうことから作られた字であったろうと思います。
 事実、現代でも大半の動物は歯をしらべてその年齢を推定しています。人の場合は歯のちび方によって、当人の癖とか生活状態、職業などが推理できます。
 歯のちび方には大別して2種類あり、咬(か)むことによって、すりちびることを咬耗≠ニいい、癖や習慣などによって、ある限られた歯がすりちびることを摩耗≠ニ呼んでいます。
 長寿の人は健全な歯を保持していることが多く、しかも全体の歯が平均的にちびて表面が平らになり、象げ質が露出しています。こんな状態を咬耗≠ニいいます。
 摩耗≠フ例は、パイプくわえることを常習にしている人の場合、決まった位置の歯が咬みちびていたり、また和裁を職業にしている人の歯が、いつも糸を咬み切る歯に限ってすりちびていたり、釣り糸を咬み切る癖のある漁師の歯が点状に欠けていたりします。
 このように咬耗∞摩耗≠フ状態から人の生活状態を推理することが考古学や犯罪捜査にも利用されているのです。



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