温故知新 2001.01.10

14.保険歯科医療の問題点

 例えば虫垂炎(盲腸炎)の手術に、保険だから並の手術=A自費だから上の手術≠ニ差別がもしあったとしたら、どうなるでしょう。
 手術に関して並≠ニか上≠ノ差別する外科医がいたとしたら、それこそ悪徳医師≠ニ非難をあびせられるでしょう。
 歯科医療の特異性はこの点にあります。歯科医療は、治療と補綴(てつ)の二つの仕事をしなければなりません。
 治療については当然、差別をつけるべきではありませんし、差別をする歯科医師はまずありますまい。問題は補綴にあります。
 補綴とは、義歯を作ったり冠をかぶせたりすることですから、他に例を求めるならば、眼鏡や補聴器、あるいは義肢(し)、義手等々の製作に似た仕事といえます。
 しかもこれらは、技術的にも、改良につぐ改良と進歩の連続です。
 補綴を保険医療の中に入れるべきか外すべきか、相当以前から歯科医師の間でも論争の焦点になっていますが、保険医療が国民のものであるかぎり、国民が主体的に決定すべきことだと思います。ちなみに英国では、眼鏡までも保険制度の中に含まれているそうです。



目次へ|column index| ourdent.com| ご感想はぜひ掲示板へ