温故知新 2001.07.18

41.ナマケモノの死因

 栗林動物園では1973年から3種類9頭のナマケモノを飼育し、現在そのうちの8頭が健在です。
 ナマケモノは中南米のジャングルに棲(せい)息し、一日じゅう樹木にぶらさがり、動きが鈍いことからナマケモノと呼ばれています。
 どんな動物でも、全く環境の違った場所で馴(じゅん)化することは大変にムツカしく、めずらしい動物であればあるほど、飼育の苦労も多く、動物の習性、温度や湿度などの気象条件、草原、水辺、樹間等々の棲息条件、他の動物との関係、そして餌(えさ)などをよく研究してから飼育にかかります。
 ある日のこと一頭のナマケモノが原因不明のままに死んでしまいました。
 死体を解剖していろいろと調べてみましたが、死因がつかめず、困り果てた末に、やっとの思いで下顎(がく)の粘膜に刺し傷を発見しました。さてその刺し傷の原因ですが、天然の餌に比べてカロリーが高く、消化もしやすく、咬(か)む必要の少ない人工飼料に頼っていたので、犬歯が伸び放題になり、ついには下顎の粘膜を刺し通し、その刺し傷から敗血症になり死亡したことがわかりました。



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