【熊本S.J.C.D.例会 抄録】第66c回

 

演題  当院で開発した新しい矯正治療システム:Hybrid Orthodontic Treatment System (HOTS) について

演者名 池上富雄

日付  2006年2月28 日

keyword

  1. 矯正治療システム 
  2. 効率的な小臼歯抜歯症例の治療 
  3. Hybrid Orthodontic Treatment System (HOTS)

抄録

Hybrid Orthodontic Treatment System (HOTS)は小臼歯抜歯症例に用いられる新しい治療システムで

1.MIA (Micro Implant Anchorage) 

2.Combination wire (前歯部rectangular, 臼歯部roundのwire) 

3.MEAW (Multi-loop Edgewise Arch Wire) 

という3つの異なる概念のもとに開発された矯正治療のツールを組み合わせて現在考えられる最も効率的かつ確実な治療法を確立しようとする試みから生み出されました。この治療法の最も大きな特徴は第2小臼歯と第1大臼歯の間に埋入されたMicro implant screwよりエラストメリックモジュールやコイルスプリングを用いてcombination wireのround部分に沿って犬歯単独での遠心移動を行いながら同時に前歯部のrectangular部分を用いてトルクをかけながら4前歯の舌側移動を行うところにあり、従来の6前歯をひとまとめにして舌側移動をはかる方法(en masse retraction)とも、round wireにて犬歯単独の遠心移動をした後にrectangular wireにて4前歯の舌側移動をはかる方法とも一線を画しています。この新しい方法では犬歯を唇舌側の皮質骨に触れさせることなく、海綿骨中を遠心移動させながら、同時にトルクをかけつつ4前歯の舌側移動を行うことができ、より効率的に歯牙の移動が行えると考えられます。また、舌側移動終了後のアーチフォームも、en masse retractionを行った場合やループによる抜歯窩のスペースクローズを行った場合に比べ、より自然な連続性を保った歯列弓形態に近く、修正の手間を要しません。 抜歯窩閉鎖後の治療の最終段階では必要に応じてMEAWが用いられ、よりよい咬合関係の確立を目指しています。尚、HOTSの動画を次のサイトで見ることが出来ます。

http://www.koc.or.jp/hots/hots.htm

戻る