【熊本S.J.C.D.例会 抄録】第53回

演 題 病院・診療所連携によるインプラント治療

演者名
立山歯科 立山由乗、佐藤晃
佐賀大学医学部 歯科口腔外科学講座 井原功一郎、後藤昌昭


日 付 2004年10月26日


Keywords
1. 理想的な補綴位置
2. GBR
3. サイナスリフト

抄 録

現在、インプラント治療は予知性の高い治療法として社会に広く受け入れられて来ており、インプラントを利用した欠損補綴治療を希望される患者様が着実に増加して来ています。しかし、殆どの場合、最初に受診されるのは住居している近くの診療所であり、受診した診療所に於いて、患者さんの要望を満たすインプラント治療を提供できない場合が出てきています。
特に上顎歯槽堤が高度に吸収した場合に、サイナスリフトや広範囲に及ぶGBRなどの治療が必要な時、またその為の多量の自家骨を、口腔領域やそれ以外の部位から採取する必要がある時などです。
当歯科医院ではそのような時、入院設備も整い、経験も豊かな大学病院との連携を取ることにより、患者様のニーズに応える様にしています。

今回のケースは、47歳の女性で高校の教師をしてあります。
高度の歯周疾患に罹患しており、上顎の歯牙は全て要抜歯であり、下顎に於いても右下67、左下567は抜歯のため欠損になりました。
教師という職業のため、総義歯を受け入れられないこともあり、全て固定のインプラント補綴治療を希望されていました。
しかし、上顎両側の臼歯部歯槽堤は高度に吸収しており、また前歯部に於いても唇側歯槽骨の高度な吸収の為、最終的な補綴物が審美性を欠く恐れがありました。
そこで、今回、佐賀大学医学部の口腔外科と連携を取り、病院に入院の上、両側のサイナスリフトと同部への腸骨海面骨の移植、また前歯部唇側にも腸骨を移植して歯槽形態を回復すると共に、チタンメッシュプレートを移植骨の保護目的の為に使
用してもらいました。
その後、当歯科医院に於いて、全顎のインプラントの埋入を行いプロビジョナルにて観察後、補綴処置を終了いたしました。
今回、この症例を発表いたします。