***熊本健口クラブ21***     ■TOPへ  ■総論へ  ■各論         
 
各論

歯シリーズ2 各論

■ ■ ■  ■ ■ ■



 虫歯や歯槽膿漏(しそうのうろう)などで失われた歯・・・。そのままにしていると、会話や食事がうまくできなくなるのはもちろん、歯全体のかみ合わせが変化してきて、残っている歯や顎にも障害が起きてきます。
 そこで、残っている歯の健康維持・なくなった歯の機能回復のために、いままでは唯一の選択肢である入れ歯・差し歯(ブリッジ)で治療されてきました。
 「入れ歯」は、自分で取り外しのできる義歯。歯ぐきの状態に応じて吸着が変化し、年月とともに顎の骨がやせてくるので、頻繁に調節したり作り替える必要があります。また、違和感が大きく、動きやすいためしっかり噛みにくいのも欠点。部分入れ歯の場合は、針金や留め金をかける健康な歯に負担をかけることになり、将来的にその歯までも失う可能性が高くなります。
 「ブリッジ」は、1〜2本抜けた歯の治療によく使われています。なくなった歯の前後の歯(健康であることが条件を土台にして、人工歯を橋のようにかける方法です。固定性なので、見かけ・装着感・咬む力は入れ歯より優れています。欠点は、健康な両端の歯を削る事や、その歯に無理な力が掛かること。清掃も難しく、差し歯の接合部から虫歯になったり、外れたりすること。壊れたときには、すべてやり直さなければならないことなどで、しだいに健康で丈夫な周辺の歯が、使えなくなったり抜けたりすることも。

 それに対し、ここ10年で浸透してきたのが「インプラント」という方法(保険外)。熊本では約2割の歯科医院が行っているようです。
 なくなった歯が埋まっていた箇所の骨に、医療用のチタンで作られた杭のような土台を埋め、その上に人工の歯を固定するものです。治療後は天然歯と同じ、歯が再生したような状態になります。
 なにより注目したいのが、残っている天然歯を保護できるという点。ブリッジのように健康な歯を削ることなく、余計なストレスをかけません。さらに、歯が抜けると、その部分の顎の骨や歯ぐきが次第にやせてきますが、インプラントではこのような骨の減少が防げます。見た目も自然で、患者さん自身のお手入れも簡単です。後に咬み合わせ等の変化が現れても、早期の場合は上部の人工歯の交換だけで対処しやすいなどメンテナンス面でも優れています。
 インプラントは、骨の成長がとまる18歳ごろから受けられます。埋め込む手術は(1〜4本)1時間程。歯が完成するまでには骨とインプラント体の固定期間も含め、3カ月〜半年ほどかかります。
 また今日では、埋める部分の骨が退化したり喪失していても、骨の移植や再生などで、インプラントが出来るようになりました。
 しかし、血液疾患・心疾患・骨粗鬆症などの骨代謝疾患、顎の機能異常の人は治療ができません。そのほか、タバコは血液の循環が悪くなるので、喫煙者は術前術後、禁煙をしなければいけません。また、半年〜1年に1回のメンテナンスをするのが前提です。
 値段は医院でさまざまですが、手術から歯の完成、かみ合わせの調節まで含めて1本30万円前後から。
 くれぐれも注意したいのは、インプラントは、ただ埋め込むだけのものではないこと。トラブルにならないためにも、処置を急がず資料をしっかりと分析し、かみ合わせや先々の予測、出来上がり完成設計図や具体的な治療計画、メリット、デメリットまで含めた説明を、十分にしてくれる歯科を選ぶことがおすすめです。




取材/細川歯科医院
細川 孔 院長

TEL 096(364)2010

■TOPへ  ■総論へ