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ご隠居ご隠居 源さん源さん
で、前号の続きじゃが、何の話だったかの。
「ファンタジア理論」ですよ、ご隠居
おお〜、そうじゃったの
お願いしますよ、本当に。で、その「ファンタジア理論」ってえのは何なんでやす?
ほれ、巨大隕石の激突となると、そこから、地球がえらいことになるというのが、SFでは定番じゃろ。
隕石がぶつかった衝撃で、でっかい穴があいて、それから地震、津波に、お天道様が見えなくなる・・・・と、さんざんだってえ話しですが・・・そうならないんで?
いや、なることはなるんじゃ。文明が残るかどうかも怪しいもんじゃが、地球の生態系に与える影響となると、どうやら隕石だけでは、壊滅的なダメージにはならないらしいんじゃよ。
そうなんで?
前回説明した、「銀河系の冬」・・・この時以外にも地球にはでっかい隕石がぶつかった形跡があるんじゃが、実はその際には「大絶滅」と言えるほどの生態系の変化は起こっとらんと考えられておる。
へ〜。でも、「銀河の冬」の時には「大絶滅」と「巨大隕石の衝突」が同年代に起こってるんでやしょ?
いかにも。
じゃ「銀河の冬」で降る隕石ってのは特別、タチが悪いとか。
ところがな、最近の研究では、どうやら順番が逆のようだと、言われ始めておるんじゃ。
順番が逆?
つまりな、よ〜く調べてみると「銀河の冬」による隕石が地球にぶつかるより前に「大絶滅」は始まってるらしいんじゃ。
あ〜、じゃあ、これから大変なことになるからってんで、皆で世をはかなんで・・・。
こりゃ、そんなことあるかい。
へっへ、やっぱり。
まったく、お前さんと話してると疲れるよ。でな、この、隕石が地球にぶつかる前に大絶滅が始まるという考え方が「ファンタジア理論」なんじゃ。
なんで、そこでディズニー映画の名前が出てくるんで?
あの映画でも「大絶滅」のシーンがあるんじゃがな、繁栄を謳歌しておる恐竜を始めとした地球上の生命が、やがて衰退して行き、滅しようとするその時、絶望のうちに空を見上げると、巨大隕石が迫ってきておる・・・・と、そういった描き方になっておるんじゃよ。
へぇ〜、じゃ、ディズニーは知ってた?
ディズニーの時代には、そんな学説はなかったからの〜そんなはずはないんじゃが、「大絶滅」→「巨大隕石」といった順番で「大絶滅」を描いたのは、恐らく、あの男だけじゃろう。
ほえ〜、で、ファンタジア理論。
うむ。
じゃあ「銀河の冬」に入ると、巨大隕石が降るより早く、もっとタチの悪い、何かよからぬ厄災が起こるって事ですか?
それも、1つの考え方じゃな。が、そういったものの痕跡は、未だ見つかっておらん。
じゃあ、原因不明で?
ま、「ファンタジア理論」自体も1つの可能性に過ぎんからのぉ〜。
ああ〜、でも、考えれば考える程、なんだか、どんどん恐い考えになっていきますよ〜、あっしゃ。
それじゃ、これが原因ではないかと言われている説を教えてあげようかの。
な・・何でやす?
名付けて「遺伝子爆弾説」じゃ。
ああ、なんだか、あっしゃあ、あんまり聞きたくないような・・・・。
まあ、遠慮せずにお聞き。源さん、あんた、生命が地球に誕生したのはいつごろか知ってるかい?
え〜と、確か40億年くらい前ですよね。
うむ、正解じゃ。でな「銀河の冬」の周期が3300万年と考えられておるから、生命はその誕生から数えると、かれこれ100回を越える「銀河の冬」を経験しているはずなんじゃ。
てえことは、100回を越える「大絶滅」を経てきていると。
じゃろ。でな、さっきお前さん、巨大隕石が降る前に皆で世をはかなんで・・・なんてこと言っておったじゃろう。
へえ、ほんの冗談で。
生物が自分の意志でそんなことしたりせんじゃろうが、DNAがそれをやってるんじゃなかろうか・・・というのがて「遺伝子爆弾説」じゃよ。
じゃ、DNAが世をはかなんで。
これ、DNAは世をはかなんだりせんわい。ほれ、生き物が厳しい冬にすることと言ったら・・・・
冬眠で?
そうそう、そうれじゃ。一種の冬眠と呼べる物が、DNAに刷り込まれているのではないか・・・という説じゃ。
冬眠ったって「大絶滅」がですかい?
そう、全地球上の生命の個体数をぎりぎり絞り込んだ上での一斉の冬眠状態、これが「大絶滅」の正体ではないか・・・と、いうんじゃよ。まあ、地球上の生態系を一つの生命とみなすと、理にかなっておるとも言えるじゃろ?
はぁ〜、しかしDNAってのは、自分のコピーを増やすのが、本来持っている機能でやしょ?そんな、個体数を減らすなんてことをやったりするんで?
する。有名なのは竹じゃな。
竹?
竹ってえのはな、120年に一度、一斉に枯れるんじゃ。
120年毎に?
120年毎にじゃ。
世界中で?
いかにも。どこに生えておろうと関係ない。120年に一度、絶滅するようDNAが組まれておるのじゃから。
はぁ〜、じゃ、今生えている竹は?
その時分に、種子として休眠しておったものじゃな。
そりゃ、パンダもえらい災難で。
近年の竹の個体数激減は1960年代に起こったんじゃがな、そのときパンダは、絶滅しかけておる。パンダだけではないぞ、竹に関連する生態系は、120年毎にほぼ絶滅するのじゃ
はぁ〜、それで竹には何の得が?
分からん。分からんが、竹のDNAには爆弾が備わっておることは確かじゃ。
じゃ、ひょっとしたら人間にも・・・。
あるかもなぁ〜、源さん。
ひゃあ〜
かっかっか、怖がらせがいのある奴じゃなぁ〜。しかしな源さん、人間のDNAに時限爆弾がある必要はないんじゃ。
てえますと?
現在の生態系の維持に欠かせない、そんな生物1種だけで十分じゃ。後は、ドミノ倒しで「大絶滅」じゃよ。
うわぁ〜、ご隠居〜、あっしを怖がらせて何が楽しいんですか〜!?
う〜ん、ひょっとしたらDNAに刷り込まれてるのかも知れんのぉ〜。 
勘弁してくださいよ〜
よしよし、次回は明るい話題にしようかの。




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